顎口腔外科学講座 【末盛3階】
研究
 
 
研究
 当講座では口腔外科疾患に関わる広い分野の研究に取り組んでおり,積極的に各学会等で報告を行っている。
唇顎口蓋裂に関する研究
 唇顎口蓋裂患者に対し,上顎の発育を優先させたチューリッヒシステムと呼ばれる2段階口蓋形成法を基に独自の治療法を行っている。研究内容として,セファログラムを用いた口蓋形成後の顎発育における画像評価や,鼻咽腔機能,軟口蓋の動的機能などの言語機能評価を行い,他の治療法との比較を行っている。また,顎裂部においては,脛骨から採取した自家骨移植術を行っているため,骨移植における術後の歩行やVASによる疼痛評価や移植骨の吸収についての画像評価を行い,臨床データを用いた多肢にわたる研究を進めている。
顎関節疾患に関する研究
 顎関節は複雑な顎機能を可能にする関節で,顎関節症,強直症,脱臼を中心に基礎的および臨床的な研究を推進している。
 基礎的研究ではオーストラリアのアデレード大学との共同研究で,ヒツジで変形性顎関節症と顎関節強直症の疾患モデルを作製し,種々の手術を行って治療効果の検討をしている。
 臨床研究では,画像診断で診断を確実に行い,顎関節症を中心に薬物療法,顎関節腔洗浄療法,外科的治療についてより効果の高い治療法の探究をしている。又、最近では高齢者の顎関節脱臼の治療法について研究している。
コロネクトミー(歯冠切除術)に関する研究
 下顎第三大臼歯(智歯)の歯根が下顎管内の下歯槽神経に接触している場合には,智歯抜歯によりこの神経を損傷し,下唇の知覚異常を起こすことがある。この損傷による日常生活への支障は大きく,訴訟にもなる。この損傷を防ぐために下歯槽神経に接触している歯根部は抜歯しないコロネクトミーが英国で始まった。当講座は2005年に本邦で最初にこの術式を取り入れ,現在までに409歯に行い、良好な結果を報告している。
顎変形症に関する研究
 顎変形症の治療目標は咬合ならびに顎口腔機能の改善に加え,心理的にも満足が得られることが理想的と考え,様々な研究を行っている。
 特に顎矯正手術後の安定性に関連する要因についての検討や,術後の神経障害の客観的評価法と治療法の研究などを行っている。また,主訴として発音などの口腔機能異常を訴える場合が多いことから,術前術後の構音様式の研究や,術前術後の心理学的行動パターンについても検討を行っている。
歯科用レーザーに関する研究
 LLLT(Low reactive Level Laser Therapy:低反応レベルレーザー治療)は,低侵襲治療として注目されており,これまでに星状神経節近傍照射に関する基礎的・臨床的研究,口腔軟組織の創傷治癒促進に関する作用機序解明,末梢神経に対する神経生理学的検討などについて報告してきた。他に口腔病変へのレーザー照射の影響,PDT(Photodynamic Therapy),PDD(Photodynamic Diagnosis)に関する基礎的研究も科学研究費の助成を受けて継続中である。
口腔心身症に関する研究
 口腔外科には,長引く原因不明の痛みを訴える患者も来院される。最近では研究が進み,舌痛症(口腔内灼熱症候群)や特発性歯痛と診断されるこれらの病気は、脳とこころ,ならびに舌や歯などの間の神経損傷などで起こる神経障害性疼痛とわかってきた。リエゾン研究班は歯科医師と脳とこころの専門家・名古屋大学医学部精神科医師が協力して,患者にアンケート・血液検査・薬物療法に参加していただき,病気を解明し治療に役立てるための研究を行っている。
歯科インプラントおよび顎骨造成に関する研究
 インプラント治療の際,顎骨の骨幅や骨高径が不足し,目的位置にインプラントが埋入できない症例に対して,ベニアグラフトやサイナスリフトといった骨移植による骨造成を行っている。研究面では歯骨造成後の形態および質的変化の把握の為の画像解析や,インプラント埋入後の予後調査等を行っている。また,動物を用いた骨再生療法についての検討や唇顎口蓋裂や悪性腫瘍後の顎骨欠損患者への有効なインプラント治療の開発などについての検討も行っている。
口腔悪性腫瘍に関する研究
 扁平上皮がんは口腔がんの中で最も発生頻度が高い。口腔がんの発生率は年々増加の一途をたどっている。しかしながら,口腔がんの治療成績は,治療の進歩にもかかわらず,世界的にみて大きな変化を認めていない。少しでも向上させるヒントは基礎研究にあると考えている。我々は,口腔がんにおける薬剤耐性や浸潤?転移におけるがん幹細胞と上皮間葉移行の役割を明らかにし,そのメカニズムの一端を明らかにすることを目的に基礎研究を行っている。
再生医療に関する研究
 国立長寿医療研究センターと共同で歯髄幹細胞を用いた末梢神経麻痺治療の研究を行っている。近年の研究で歯髄幹細胞は歯髄再生のみならず,脳神経や血管再生にも有用であることがわかってきている。当講座ではラットの坐骨神経でその有効性を証明するとともに,その再生メカニズムの解明もすすめている。
研究実績
唇顎口蓋裂に関する研究
脛骨を用いた顎裂部への二次的自家海綿骨移植術の有用性について‐30症例における臨床的検討.水野真木,鍋島弘充,清水幹雄,中野雅哉,栗田賢一.日本口蓋裂学会雑誌,34:283-290,2009.
片側性完全唇顎口蓋裂患者における二段階口蓋形成法の術後成績−顎裂部への自家骨移植術に関する術後評価−.中山敦史,栗田賢一,荻田匡樹,水野真木,脇田 壮,中塚健介,清水幹雄,向井加奈,鍋島弘充.日本口蓋裂学会雑誌,35:56-64,2010.
顎関節疾患に関する研究
Natural course of untreated symptomatic temporomandibular joint disc displacement without reduction. Kurita K, Westesson PL, Yuasa H, Toyama M, Machida J, Ogi N. J Dent Res, 77(2):361-5, 1998.
Effect of a Surgical Approach on the Intra-articular Architecture of the Temporomandibular Joint ― an Animal Study. Nobumi Ogi, Kenichi Kurita, Jun-Ichi Ishimaru, Alastair N Goss. Asian J Oral Maxillofac Surg, 21:5-9, 2009.
コロネクトミー(歯冠切除術)に関する研究
Usefulness of mandibular third molar coronectomy assessed through clinical evaluation over three years of follow up. K. Kohara, K. Kurita, Y. Kuroiwa, S. Goto, E. Umemura. Int. J. Oral Maxillofac Surg., 44:259-266, 2015.
Clinical and Dental Computed Tomographic Evaluation 1 Year After Coronectomy. Shingo Goto, Kenichi Kurita, Yuichiro Kuroiwa, Yuko Hatano, Keitaro Kobara, Masahiro Izumi, Eiichiro Ariji. J Oral Maxillofac Surg, 70(5):1023-1029, 2012.
顎変形症に関する研究
Long-Term Prognosis of BSSO Mandibular Relapse and its Relation to Different Facial Types. Kenji Yoshida, Gladys A. Rivera, Naoko Matsuo, Makoto Takaishi, Hiroshi Inamoto, Kenichi Kurita. Angle Orthodont, 70:220-226, 2000.
Changes in skeletal asymmetry after sagittal split ramus osteotomy for patients with mandibular prognathism: three-dimensional computed tomographic assessment. Masahito Maeda, Akitoshi Katsumata, Yoshiko Ariji, Atsushi Muramatsu, Kenji Yoshida, Shigemi Goto, Kenichi Kurita, Eiichiro Ariji. Oral Radiology, 23:10-15, 2007.
歯科用レーザーに関する研究
ヒト舌癌細胞株に対するtalaporfin sodium を用いた光線力学療法(Photodynamic Therapy:PDT)の抗腫瘍効果.木下篤敬, 中西速夫, 塚本佳孝, 関泰, 大野ふみ, 太田充彦, 阿部 厚, 立松正衛, 吉田憲司, 栗田賢一.愛知学院大学歯学会誌,46:35-44,2008.
歯科口腔領域におけるLLLTの現状 ―LLLTの概念と最近の動向を見据えて―.吉田憲司.日本レーザー医学会誌,34:413-421,2014.
口腔心身症に関する研究
Five Patients with burning mouth syndrome in whom an antidepressant (serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor) was not effective, but Pregabalin markedly relieved pain. Ito M, Tokura T, Yoshida K, Nagashima W, Kimura H, Umamura E, Tachibana M, Miyauchi T, Kobayashi Y, Arao M, Ozaki N, Kurita K. Clin Neuropharmacol. 38:158-161, 2015.
Temperament and character profiles of patients with burning mouth syndrome. Tokura T, Kimura H, Ito M, Nagashima W, Sato N, Kimura Y, Arao M, Aleksic B, Yoshida K, Kurita K, Ozaki N. J Psychosom Res.78:495-498, 2015.
歯科インプラントおよび顎骨造成に関する研究
Image analysis of lateral alveolar augmentation using periosteal distraction osteogenesis. Hiroki Inoue, Yuichiro Kuroiwa, Munetaka Naitoh, Eiichiro Ariji, Yoshihiko Sugita, Hatsuhiko Maeda, Kenichi Kurita. J Hard Tissue Biology, 23(1):125-130, 2014.
Volume changes of grafted bone after sinus lift procedure using tibia bone: 3 years after prosthesis radiological study. Satoru Mori, Kenichi Kurita, Eri Umemura, Kensuke Nakatsuka, Kohta Fukuta, Yuichiro Kuroiwa, Hiromitsu Nabeshima, Munetaka Naitoh, Eiichiro Ariji. J Oral Maxillofac Surg Med Pathol, 27:189-195, 2015.
口腔悪性腫瘍に関する基礎的研究
Prognostic factors and outcomes for salvage surgery in patients with recurrent squamous cell carcinoma of the tongue. Goto M, Hanai N, Ozawa T, Hirakawa H, Suzuki H, Hyodo I, Kodaira T, Ogawa T, Fujimoto Y, Terada A, Kato H, Hasegawa Y. Asia Pac J Clin Oncol, Aug 2, 2013. D01.
Rap1 stabilizes beta-catenin and enhances beta-catenin-dependent transcription and invasion in squamous cell carcinoma of the head and neck. Goto M, Mitra RS, Liu M, Lee J, Henson BS, Carey T, Bradford C, Prince M, Wang CY, Fearon ER, D'Silva NJ. Clin Cancer Res, 16(1):65-76, 2010.
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