生化学講座 【楠元研究棟3階】
研究
 
 
研究テーマと実績
 研究は新たな知見を獲得する手段であると同時に、教員が専門とする学問領域の理解を深め、教育力と品格を高める貴重な過程でもあると位置づけ、下記のような研究課題に取り組んでいる。
内在性タンパク質のリン酸化による唾液腺機能の調節
 唾液構成タンパク質の多くは、腺房細胞のβ受容体刺激により、エキソサイトーシスの過程をへて腺腔側に分泌される。β受容体刺激をうけた腺房細胞内では、cAMP依存性プロテインキナーゼが活性化され、この酵素により内在性タンパク質のリン酸化が起こる。当講座ではラット耳下腺を用い、β受容体刺激下で起こる内在性タンパク質のリン酸化と唾液腺機能との関係を検討している 。
 当講座は、以前、32P-オルトリン酸でラベルしたラット耳下腺組織スライスを用い、生理的条件下で内在性タンパク質のリン酸化を検討する系を導入し、19 kDaと30 kDaの内在性タンパク質がβ受容体刺激下でリン酸化されることを報告した(Biochem Int, 1: 395-402, 1980; Biomed Res, 5: 77-82, 1984)。その後、30 kDaタンパク質についてはribosomal protein S6として同定できたが (Anal Biochem, 167: 372-380, 1987)、生理的意義など不明な点が多く、検討を継続している。
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唾液腺の分泌機能制御に関わる細胞骨格調節系
 β受容体刺激下でリン酸化されるラット耳下腺内在性タンパク質を検討している過程で17 kDaタンパク質がβ受容体刺激依存性に脱リン酸化されることを認めた(J Biol Chem, 270: 8061-8067, 1995)。17 kDaタンパク質は、実際には、分子量の類似した2種のタンパク質からなっており、これらをデストリンとコフィリンとして同定した(Arch Oral Biol, 43: 955-967, 1998)。デストリンとコフィリンはアクチン結合タンパク質で、脱リン酸化型はいずれもFアクチンの脱重合と切断を促進する。唾液タンパク質の分泌に関与するエキソサイトーシスの過程で、細胞骨格に変化の起こることが知られており、二種のタンパク質の脱リン酸化と細胞骨格との関係を検討している。ラット耳下腺はデストリン含量が多く、デストリンの脱リン酸化に先立つリン酸化機構について、関与の可能性が期待されるプロテインキナーゼ活性を検出し(Arch Oral Biol, 48: 649-661, 2003)、その部分精製法を報告した(Advances in Enzyme Res, 2: 100-112, 2014)。
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タンパク質の微量分析法
 当講座で進めているタンパク質レベルでの研究には、絶えず分析の微量化と高感度化が求められている。このため、研究の遂行に伴い、必要とされる分析法の開発と改善を進めており、イオン性界面活性剤で可溶化されたタンパク質のイオン交換クロマトグラフィーによる精製法(Anal Biochem, 167: 372-380, 1987)、タンパク質の微量分析を可能にするドットブロッティング法(Anal Biochem, 370: 115-117, 2007)、プロテインキナーゼ活性の微量測定法(Advances in Enzyme Research, 2: 100-112, 2014)などを導入し報告している。
タンパク質分泌機構解明への生物発光イメージング法の応用
 成長因子、ホルモン、サイトカインなどの細胞間情報伝達物質や、細胞外マトリックス成分とその調節に関与する酵素など、細胞は様々なタンパク質を開口分泌(エキソサイトーシス)により細胞外へ分泌している。受容体や細胞接着分子など細胞表面で機能するタンパク質が細胞膜に輸送される過程も、広義の開口分泌とみなされる。生細胞の分子イメージング法は開口分泌の分子機構を解明する上で有用で、当講座では、タンパク質分泌動態を可視化する生物発光イメージング法を導入し、開口分泌の分子機構の解明を目指している。
 「タンパク質分泌の生物発光イメージング法」は、発光酵素(ルシフェラーゼ)をレポーターとして利用する。ルシフェラーゼは、開口分泌された瞬間に、細胞培養液に添加されている発光基質(ルシフェリン)と反応し、微弱な発光を生じる。この光を高感度カメラを備えた顕微鏡システムで捉え画像化する本手法は、細胞外に分泌されたルシフェラーゼの発光強度によるタンパク質分泌の定量化が可能であり、さらに、単一生細胞における全細胞表面の解析が可能という利点がある。この手法を用い、これまでに、単一のインスリン分泌細胞からの周期的なインスリン分泌を30分以上連続的にリアルタイムに可視化し、定量解析できることを示した (Anal Biochem, 2011, 415: 182-189)。また、がんの浸潤・転移に関わる細胞外基質分解酵素MMP-2について解析を行い、遊走がん細胞における先導端からの活発なMMP-2の極性分泌を可視化した (PLoS ONE, 2011, 6(9): e25243 )。さらに、歯や骨の形成に関連した分泌タンパク質群の分泌動態解析に取り組んでいる。
2-042-03  
生物発光イメージング法の原理とタンパク質分泌の可視化
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