小児歯科学講座 【末盛4階】
研究
 
 
 
研究
当講座では、小児歯科、障害者歯科に関わる広い分野の研究に取り組んでいる。
歯科領域へのレーザーの応用に関する研究
 Er:YAGレーザーは水に吸収されやすい特徴があり、よって水を含有する生体組織に対する蒸散能が高く、歯科領域に有効である。我々は歯および口腔周囲軟組織に本レーザーを照射した際の生体への影響およびその効果を検討している。
 診断の分野では、レーザーを用いたう蝕検出装置が実用化されてきている。生体に侵襲を加えることなく診断に用いることができることを特徴とし、その実用性を検証している。
歯髄幹細胞を用いた歯髄・歯周組織再生法の開発
 従来から,天然の歯髄・象牙質に勝る充填材はないといわれてきた。歯冠側からの細菌漏洩を完全に防止し,しかも,残存歯質の性状,機械的強度が変化しないと考えられるためである。歯髄幹細胞移植による歯髄再生は象牙質の再生も伴うため、それらの条件を満たし、理想的な根管治療・充填法の一つになると考えられる。
 また、歯髄が完全に壊死・壊疽している根未完成歯における、根尖の閉鎖を期待したアペキシフィケーションでは,根管狭窄が起こりにくく,歯根も短くなり、破折の危険性が高くなる。しかし、歯髄を再生させることにより、歯および歯周組織の恒常性が維持され、幼若永久歯の根完成が期待できる。
 そこで、我々は、歯髄幹細胞を用いた歯髄・歯周組織再生法を確立し、患者さんのQOL向上に寄与することを目指している。
2-01
フッ化物徐放性歯科材料に関する研究
 フッ化物は歯質の石灰化促進と脱灰抑制により齲蝕予防に効果的である。一方、口腔内に様々な形で使用される歯科材料の具備すべき条件として、機能面のみならず、抗齲蝕性を持つ事が望ましい。本研究ではフッ化物徐放性歯科材料として歯科矯正用レジンに着目し試作レジンを用いたフッ化物除放能、機械的性質につき検証している。
小児の口腔の機能と形態に関する研究
 口腔の機能と形態は、密接に関係している。口輪筋やその周囲筋と舌との力のバランスにより歯の位置に大きく影響を与えている。近年、日常生活において普段、口唇が開いている小児を多くみかける。また、呼吸様式と口唇閉鎖習慣は関連しており、アレルギーの増加とも関係している。
 我々は、口腔機能の異常の早期発見、診断および予防のために口唇部の機能に着目し、小児の口唇閉鎖力とそれに伴う口腔の機能と形態の成長過程での影響について調査を行い、小児の最大口唇閉鎖力の年齢的推移や咬合との関連や口唇閉鎖習慣による最大口唇閉鎖力の相違について検討を行っている。
小児、障害児者が歯科治療時に表出する行動の心理生理学的研究
 当講座では、従来より小児・障害児者が歯科環境で表出する不快情動、不適応行動を心理生理学的手法により多面的に解析し、歯科診療場面における患者の心身の負担軽減法について検討を行っている。現在、小児・障害児者の歯科診療時の不協力行動表出の予測に有効な要因の検索とその制御に関する研究、歯科治療恐怖症の発症メカニズの解明とその予防法の検討などを進めている。
長期服用薬が口腔環境および歯科疾患の発症に及ぼす影響
 障害児者・病弱児は基礎疾患・合併疾患治療のため、長期にわたり投薬治療を受けていることが多く、薬剤によっては唾液分泌、歯の形成障害、骨代謝、歯肉・粘膜組織に影響及ぼすものもある。なかでも、抗てんかん薬、サイクロスポリンA、向精神薬などは良く知られている。当講座では、障害児者・病弱児が長期服用している薬剤の口腔に与える影響およびその発症と憎悪に関連する要因を基礎的、臨床的研究により検討している。
障害児者の口腔疾患の特異性に関する研究
 障害児者は基礎疾患に起因して、歯や歯根の形態や歯質の形成障害、歯肉や粘膜、咀嚼機能に異常を呈したり、だ液の性状が不良であったりする。当講座では、障害児者の有する口腔疾患の特異性について基礎的、臨床的な研究を行うことにより、管理が困難である障害の特性も踏まえた、う蝕や歯周疾患の予防や歯科治療効果の向上につながる方法を検討している。
障害児者の歯周疾患、齲蝕の早期予防システムの開発に関する研究
 障害児者は、う蝕処置を含めた歯科治療が困難であることが多いため、早期からのう蝕予防や歯科保健支援などの介入が重要である。当講座ではう蝕や歯周疾患の予防に必要と考えられるフッ化物の応用に関する基礎的研究および科学的う蝕予防法として新しい歯科材料の開発、保護者による仕上げみがき(介助みがき)やフッ化物応用に必要な洗口能力に関する研究を進め、う蝕や歯周疾患の早期予防法について検討している。
歯列、咬合の発達に関する研究
 障害児者は不正咬合を有することが多く、一部の先天性疾患を有する患児者については保険での矯正歯科治療が認められており、そのニーズは高い。口腔衛生管理を容易にし、う蝕や歯周疾患の予防のため不正咬合の改善が望ましいが、患児者は身体的・知的障害などの理由により困難であることが多い。そこで当講座では、不正咬合を有する障害児者に対し不正咬合改善に向け、発達や障害特性を考慮した段階的に治療進めるトレーニング法について臨床的検討を行っている。
歯の外傷に関する研究
 小児歯科臨床では歯の外傷にしばしば遭遇する。外傷歯では受傷後の経過観察中にさまざまな合併症がみられることが多い。また、乳歯の外傷では、その後継永久歯にも影響が起こることがある。そこで、外傷歯の長期的な管理を行い分析することにより、外傷歯に対する治療法の確立、合併症の早期発見・早期治療につながる検査法や合併症に対する処置法について検討を行っている。
 
研究業績
Hayashi Y, Murakami M, Kawamura R, Ishizaka R, Fukuta O, Nakashima M: CXCL14 and MCP1 are potent trophic factors associate with cell migration and angiogenesis leading to higher regenerative potential of dental pulp side population cells. Stem Cell Resarch and Therapy, 6: 111, 2015.
名和弘幸,藤原琢也,溝口理知子,図師良枝,藤井美樹,小木曽瑛理,富家麻美,有川智子,加藤孝明,樋田真由,後藤滋巳,煖エ 脩,福田 理:障害児の矯正歯科治療可能な適応年齢に関する検討.障歯誌,35 (1): 16−21, 2014.
藤井美樹, 名和弘幸,加藤孝明, 富家麻美,堀部森崇,有川智子,福田 理:就学前自閉症児の歯みがき習慣と仕上げみがき時の表出行動―定型発達児との比較―.小児歯誌,52 (3): 433−439, 2014.
松本 侑, 中野 崇,岡本卓真,加藤一夫,大野紀和,福田 理:Down症候群児乳歯エナメル質の表層における小柱のCa・P濃度および組織構造,愛院大歯誌,50(5):404-413,2013.
徳永有一郎,中野 崇,加藤一夫,福田 理:S-PRGフィラー含有歯科矯正用レジンのフッ化物徐放・リチャージ能,小児歯誌,51(1):1-7,2013.
Ishizaka R, Hayashi Y, Iohara K, Sugiyama M, Murakami M, Yamamoto T, Fukuta O, Nakashima M. Stimulation of angiogenesis, neurogenesis and regeneration by side population cells fromdental pulp. Biomaterials, 34:1888-1897,2013.
富家麻美,名和弘幸,森田一三,藤井美樹,加藤孝明, 溝口理知子,図師良枝,煖エ 脩,嶋赴`浩,福田 理:就学前自閉症児の洗口能力と発達年齢の関連性,小児歯誌,51(3): 390-395,2013.
大塚章仁,中野 崇,高田麻紀,福田 理:舌小帯形成術後に口腔筋機能療法を行なった1例,小児歯誌,51(3):402-411,2013.
Komoto S, Kondo H, Fukuta O, Togari A.Comparison of β-adrenergic and glucocorticoid signaling on clock gene and osteoblast-related gene expressions in human osteoblast.Clonobiology International. 29(1):66-74,2012.
Ishizaka R, Iohara K, Murakami M, Fukuta O, Nakashima M.: Regeneration of dental pulp following pulpectomy by fractionated stem/progenitor cells from bone marrow and adipose tissue. Biomaterials. 33(7): 2109-2118,2012.
丹羽雅子, 中野 崇, 村田宜彦, 井鍋太郎,福田 理:小児の養育環境と乳歯齲蝕の関連性について,愛院大歯誌,50(3), 227-233,2012.
加藤 孝明, 岡本 卓真, 伊藤 正樹, 佐々 真由子, 松本 侑, 山田 正弘, 新美 照幸, 松本 享, 橋本 和佳, 横井 共, 名和 弘幸, 藤原 琢也, 福田 理:歯学部附属病院障害者歯科診療部開設9年における全身麻酔下歯科治療症例の調査,愛院大歯学誌,50(1):1−8,2012.
松本 侑, 岡本卓真, 加藤孝明, 山田正弘, 伊藤正樹, 名和弘幸, 佐々真由子, 松本 享, 橋本和佳, 新美照幸, 横井 共, 藤原琢也, 福田 理:歯学部附属病院障害者歯科診療部における静脈内鎮静法および日帰り全身麻酔下歯科治療の実態調査,障害者歯科学雑誌,33(2):213-220,2012.
岡本卓真,加藤孝明,藤井美樹,小木曽瑛理,富家麻美,有川智子,堀部森崇,名和弘幸,福田 理:広汎性発達障害児における卒乳児期がう蝕罹患に及ぼす影響.障歯誌,33(4):621−625,2012.
藤田果奈,中野崇,,徳倉健,清水幹雄,久保勝俊,内藤宗孝,前田初彦,福田理:エナメル上皮線維腫により下顎乳臼歯の萌出遅延をきたした1例,小児歯誌,50(3):249−255,2012.
鈴木美衣,外山敬久,小野俊朗,福田 理:本学小児歯科における舌小帯異常の実態調査,小児歯誌,50(4):283-287,2012.
外山敬久,古森有里子,土屋智昭,不破祐司,森田一三,荒木章純:歯科医師臨床研修におけるインシデントの分析,日歯教誌,28(3):169-174,2012.
王 陽基,中野 崇,榊原章一,加藤一夫,福田 理:950ppmFフッ化ナトリウム溶液が乳歯・永久歯のerosionに与える影響,小児歯誌 50(4):288-296,2012.
山川 佳代,中野 崇,大塚 章仁,徳倉 健,丹羽 雅子,福田 理:歯痛と咬合異常感を訴えた小児神経症の1例,小児歯誌 50(4) :326-332,2012.
Takeshi Tokura, Colin Robinson, Philip Watson, Hani Abudiak, Takashi Nakano, Kimihiko Higashi, Tomokazu Naganawa, Kazuo Kato, Osamu Fukuta and Haruo Nakagaki:Effect of pH on fluoride penetration into natural human plaque, Ped Dent J. 22(2): 140-144,2012.
Yoshitaka Kusabe , Takashi Nakano, Takuma Okamoto, Shinji Tsuboi, Susumu Matsumoto, Haruo Nakagaki, Osamu Fukuta: Distribution of Fluoride and Magnesium Concentrations in Deciduous Tooth Enamel of Children with Cerebral Palsy and Down Syndrome, Ped Dent J. 22(2): 103-109,2012.
小野俊朗,村田宜彦,井鍋太郎,福田 理:小児の口唇閉鎖力に関する研究 第8報 保育園児の咬合と質問紙調査による口唇閉鎖習慣との関係,口腔リハビリ誌,25(1),11-15,2012.
Takuma Okamoto, Osamu Fukuta, Munenori Shibata, Yoshitaka Kusabe, Shinji Tsuboi, , Junko Inukai, Haruo Nakagaki:Remineralization of Primary Tooth Enamel from Individuals With Down Syndrome.Journal of Dentistry for Children,78(1),:43-48,2011.
小木曽瑛理,渥美信子,東 公彦,犬飼順子,福田 理:治療通院中に発見された5歳男児の唾石症の1例,小児歯科学会雑誌,49(2):180−186,2011.
有川智子,内藤宗孝,伊藤正樹,今村 綾,岡本卓真,名和弘幸,福田 理:小児の歯牙腫を歯科用インプラントソフトウェアにて観察した一例.小児歯科学雑誌,49(3):272-278,2011.
Takashi Nakano, Celia Neale, Colin Robinson, Shoichi Sakakibara Haruo Nakagaki, and Osamu Fukuta: Effect of low fluoride levels characteristic of saliva on demineralization kinetics of human dental enamel. Pediatric Dental Journal 21(2):160-164,2011.
このページのトップへ
愛知学院大学 歯学部〒464-8650 名古屋市千種区楠元町1-100TEL 052-751-2561(代)

Copyright(C)2011 School of Dentistry,Aichi Gakuin University All Rights Reserved
個人情報保護方針