保存修復学講座

本講座では歯科臨床の基本分野である歯の硬組織に対する疾病の発症と進行を抑制させる治療、またその部分に生じた欠損に対する修復治療に関する教育を担当しています。この領域は従来は保存修復学と呼称されていましたが、疾患への対応が必ずしも修復に限らないという考えから、講義名や実習名は「歯の硬組織疾患の病態と治療」としております。

歯の硬組織疾患の多くはう蝕症で、う蝕症は歯周病と並ぶ歯科の二大疾患といわれてきました。しかし、最近は口腔衛生知識の普及、向上によってう蝕に対する修復治療のみならず、その予防・制御や治療後の管理・メインテナンスの実施も必須とされています。また、超高齢社会にあっては自分の歯を残すことの大切さも認識され、歯列と口腔の健康の維持と増進が人々の健康増進に寄与することも明らかになっています。いずれにしても人々のQOLを高め、ADLを維持することに直接つながる当該科目について学習することは非常に重要で、意義あることです。

実際に歯の硬組織疾患の治療は歯科臨床のかなりの時間を占め、その治療の性質から歯科医療行為の初期の段階で行われることが少なくありません。したがって、患者さんの健康を管理し、それを増進するためには、患者さんとの良好なコミュニケーションと相互の信頼関係を確立することも学ぶ必要があります。

歯の硬組織疾患治療学に関連する材料・技法について、およびこれらの疾患の治療や予防・制御、ならびに健康管理のための検査・診断について基礎的、臨床的に幅広く研究しています。具体的にはう蝕の検査・診断法に関する研究、歯質の脱灰・再石灰化に関する研究、歯質接着材の臨床応用のための研究、セラミックやレジンなどによる審美修復に関する研究、修復材料の生体親和性に関する研究、歯質・歯髄の再生療法に関する研究、高齢者の歯の硬組織疾患に関する検査・診断法と治療法に関する研究、レーザーの歯科的応用のための研究、ホワイトニングに関する研究などを行なっています。

附属病院の歯科保存科診療部および審美歯科診療部において歯の硬組織疾患をもつ患者さんの治療や予防、管理を担当しています。

また歯の変色などの悩みをもつ患者さんにも対応しています。
この治療室では上記の臨床教育や臨床研究も同時に行われています。