顎口腔外科学講座

口腔外科は口腔およびその周辺にみられる外傷、炎症、腫瘍(良性・悪性)、嚢胞、奇形、神経性疾患などを扱う学問で、その内容は多岐にわたり、歯科医療と一般医療との接点にあたります。したがって歯科医学的知識に加えて、広範な医学知識を持たないと理解できない面があります。このためには3年生までの基礎医学(歯学)の講義を十分に活かしておくことが必要です。また、内科学、外科学、のほか関連臨床医学および麻酔学の理解は口腔外科学の理解、臨床に必須のものと考えています。

口腔外科学は広範にわたるため、顎口腔外科学講座と顎顔面外科学講座で内容を分担しています。顎口腔外科学講座は炎症、顎関節疾患、粘膜疾患、外傷および口腔外科と全身に関連する手術学、顎変形症、口腔に関係の深い血液疾患、および口腔外科診断学の講義を担当しています。

講義終了後は顎顔面外科学講座と共通で、臨床予備実習を開始。臨床予備実習では、臨床実習の基本態度と技能を学びます。また、感染対策や病歴聴取および抜歯・縫合などの手術の基本手技を習得し、さらに臨床に関与した講義を行います。

臨床実習は病院の口腔外科初診室、外来診療室、病棟、手術室に分散され、各指導医のもとで予診の聴取、小手術手技の実地臨床、手術の見学、病棟では入院患者の術前術後の管理や処置について学ぶことになります。

口腔内や上下顎、顎関節、唾液腺などに起こる病気の治療をします。

主に、埋伏智歯(親知らず)、先天異常・奇形(口唇裂・口蓋裂)、変形(顎変形症)、顎関節症、腫瘍(良性、悪性)、粘膜疾患、嚢胞、外傷、炎症、神経・心因性疼痛(原因不明の痛みや違和感)、口腔インプラントなどの治療を行っています。

また、診療と並行して,基礎研究,臨床研究を行うと同時に学生教育を行っています。

 

口唇裂・口蓋裂 当診療部では1998年以降、改良を加えながら一貫した治療体系をとっています。口唇裂では立体的な顔貌の回復を目指し、目立たない傷に配慮した治療を行っています。口蓋裂では上顎の成長障害を最小限にすると同時に言語面に配慮した治療を行っています。また、口唇裂術後の瘢痕(傷あと)の修正や鼻形態の修正も行っています。

詳細は以下をクリックしてください

「当診療部の口唇口蓋裂の治療方針」

「口唇裂術後の審美的な改善」

顎変形症 下顎前突(受け口)、上顎前突(出っ歯)、開咬、顔のゆがみに対する外科的矯正治療を行っています。術前、術後に数年間矯正科による歯科矯正治療が必要となります
顎関節疾患 顎関節症や顎関節強直症による開口障害、習慣性顎関節脱臼、咬合不全など
粘膜疾患 口内炎、潰瘍、白色病変(口腔扁平苔癬、白板症、口腔カンジダ症)、口腔乾燥症など
埋伏智歯・歯の萌出障害 歯肉や顎骨内に埋まった智歯(親知らず)の抜歯や永久歯の萌出障害の治療、歯の移植など
嚢胞 顎骨内や口腔内の嚢胞性疾患の外科的治療
外傷 口腔、顔面裂傷、歯の脱臼、顎骨の骨折の治療
炎症 歯性感染による顎骨炎やヘルペスなどのウイルス疾患の消炎治療
歯科用インプラント 抜歯した部位に人口歯根を埋入する治療。骨条件の悪い部位には自家骨移植やサイナスリフトなどのインプラント前治療も行っています。
その他 神経・心因性疼痛:原因不明の疼痛、しびれの治療など(名大診療内科と連携)

当講座では多岐にわたり幅広い分野で研究を行っています。

  • 口唇口蓋裂に関する臨床および疫学的研究
  • 顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼、顎関節強直症)における基礎、臨床研究
  • インプラントに関する基礎、臨床研究
  • 顎変形症の形態学、手術学、機能学、心理学的研究
  • 創傷の治癒(軟組織・硬組織)に関する研究
  • 口腔腫瘍に関する基礎、臨床研究
  • 歯髄神経の再生医療における基礎研究
  • その他・臨床心理学に関する臨床研究