顎顔面外科学講座

口腔顎顔面外科学の占める範囲は広く、顎と口腔の周辺を中心として、炎症性疾患、良性・悪性の腫瘤形成性疾患、口唇裂や口蓋裂などの先天異常疾患、顎骨の骨折などの外傷を含めた種々の疾患を取り扱つている。この中で、顎顔面外科学講座の講義の分担は炎症(総論、各論)、手術学(消毒、基本手術)等の基本的な分野と抜歯、薬物療法、唾液腺疾患、腫瘍類似疾患、神経疾患、先天異常、顎顔面口腔の症候群などの、より具体的な臨床分野である。授業の時期は多少前後するが、より臨床的な学習内容が含まれている。5年生から6年生にかけての臨床実習の、直接患者さんに接して診療に関与する場面では、歯科医学はもとより隣接医学を含めた基本的知識と全人的な素養が不可欠であるので、予め充分な学習をしたうえで、自ら考え、自ら行動することが大切である。

顎顔面領域のすべての疾患についてEBMに基づいた治療を行う一方で、先駆的な治療も取り入れ、専門診療分野に分かれて治療に当たっている。スタッフは全員麻酔科などの研修を受け高い全身管理能力を備えたうえで、口腔領域のエキスパートとして摂食・嚥下機能や閉塞性呼吸障害症候群、骨延長をとりいれた顎外科などの治療も積極的に行っている。口唇口蓋裂と顎変形症については診療部を分け、また、顎関節、口腔腫瘍、粘膜疾患、難抜歯については特殊外来を作り、治療に携わっている。

当講座で行われている研究は、

  • 顎顔面外傷の治療研究
  • 顎顔面の変形症に関する矯正手術の改良、治療研究
  • 口腔癌、口腔粘膜疾患の治療および臨床・病理学的研究、疫学的研究
  • 摂食嚥下障害の評価とリハビリテーションに関する研究
  • 慢性上気道障害の顎口腔系からの解析と評価
  • 口唇口蓋裂から歯牙・歯数異常にいたる顎顔面先天異常の遺伝子解析

などが多岐にわたって行われている。