薬理学講座

薬理学(「生体と薬物」という科目名で学ぶ)を一言でいえば、薬物の生体における作用、あるいは薬物はどうして効くかを学ぶ学問である。薬物は用い方によって”薬”にも”毒”にもなる性質をもっている。将来歯科医師として治療にたずさわる時、自らの判断で患者さんに対して種々の薬物を処方使用する立場となる。臨床における正しい薬物療法には薬物に対する正しい理解が必要である。

具体的に薬理学を学ぶのは3年生からである。3年生春学期から始まる「生体と薬物」ではまず薬物の全体像(総論)を一通り理解した上で、医療一般に広く用いられる薬物について系統的に学ぶ。

3年生秋学期では歯科領域での治療に繁用されている薬物を中心に講義される。3年生秋学期には「生体と薬物」の実習も行われ、実際に”生きている”動物を対象に、生体における薬物の作用を具体的に学ぶ。知識を正しくより深いものにするためには、生命の分子基盤、人体の機能などで学んだことと関連づけて理解することが大切である。

薬理学講座では、骨芽細胞および破骨細胞の培養系、および糖転移酵素遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験系により「糖鎖による骨代謝制御機構」を明らかにすることを目指している。また、間葉系幹細胞に発現する糖鎖の違いが、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化に及ぼす影響について解明し、臨床応用に役立てたいと考えている。さらに、糖鎖が口腔扁平上皮癌や骨肉腫などの癌細胞の悪性形質獲得にどのように関与しているのかについて研究を進めている。

  1. 糖鎖による骨代謝制御に関する研究
  2. 糖鎖による癌細胞の悪性形質獲得に関する研究
  3. 間葉系幹細胞に発現する糖鎖の違いによる分化指向性に関する研究
  4. 小胞体ストレスによる骨代謝制御に関する薬理学的研究